28歳からの【天職探し専門】
キャリアカウンセラーの中川麻里です。

先日、東京労働局主催の
『病気の治療と仕事の両立支援セミナー』に参加いたしました。
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病気の治療と仕事の両立支援セミナー

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実は、「病気の治療と仕事の両立」は、
政府の『働き方改革実行計画』の
一項目として位置付けられており
さまざまな支援策が用意されています。

そこで、
次のような個人の方、中小企業の方向けに
セミナー内容をご紹介したいと思います。

・病気治療中だけど仕事をしたい、探したい

・病気になった社員に治療中も無理をしないで働いてもらう方策はないか
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【企業向け】両立支援を行う企業への助成金

厚労省と東京都が助成金、奨励金制度を設けています。

金額は10万円〜60万円程度で、内容は次の通りです。

1.両立支援制度の導入:10万円(厚労省)
がんなどの病気を抱える労働者の治療と仕事の両立を支援するための制度を導入する事業主に支給される。
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2.採用奨励金:40〜60万円/人(東京都)
難病患者やがん患者を、治療と仕事の両立に配慮して採用した事業主に支給される。
ただし、採用はハローワーク経由であること等、一定の要件があります。

3.雇用継続助成金:30〜60万円(東京都)
難病やがんにより1ヵ月以上休職をした労働者を、治療と仕事の両立に配慮して復職させ必要な支援を行う事業主に支給される。


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*1.の正式名称は「障害者雇用安定助成金(障害・治療と仕事の両立支援制度助成コース)」
*2.と3.の正式名称は「東京都難病・がん患者就業支援奨励金

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【企業向け】企業への両立支援策のバックアップ

たとえば「事業者のための啓発セミナーの実施」や、「事業者と患者(社員)の間に立って、両立支援を可能にする支援プランの作成助言」など、さまざまな施策が無料で受けられます。
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これは「産業保健支援センター」という公的機関によるものです。

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【個人向け】治療中の求職者へのハローワークの支援

がん・肝炎・糖尿病等の患者向けに、専任のナビゲーターがハローワークに配置され、再就職支援を行っています。

都内では、「ハローワーク飯田橋」が支援を行っており、ハローワーク内だけでなく、都立駒込病院や国立がんセンターにて出張相談も行っているそうです。

セミナーでは事例も紹介され、乳がん手術後の抗がん剤治療中の女性が保育士として再就職した例が取り上げられました。

ちなみにこの方は東京都の「採用奨励金」のチラシを面接時に持参し、事業所も興味を示して採用に踏み切ったそうです。

なおこの施策は都内のみならず、全国で実施されています(くわしくは下記リンク参照)。

*この制度の正式名称「長期療養者就職支援事業

上記も含め、個人向けの各施策は下記をご参照ください。

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【ご参考】ある企業の興味深い取り組み

両立支援策を導入している企業の事例として、「GEヘルスケア・ジャパン」の人事本部長の方からお話がありました。

まず同社の理念が紹介され、それは「社員には病気治療や育児、介護など様々な事情があるが、それを特別視するのではなく、会社がどうサポートをすればその従業員の能力を最大限発揮できるかを考え、それによりダーバーシティ戦略も進展する」というものでした。

具体的な取り組みの一つにHR業務の大改革があり、これは、HR業務を「採用、給与、福利厚生」などの専門業務と、「社員の状況把握、経営層のコーチング」をするための「担当人事」の2つに分けたのです。

そして、事業部長以上の経営層に向けては、
「病気治療中の社員も含めたダイバーシティ実現のための、新しいリーダーシップのコーチング」を行い、

一般社員に対しては、
「病気等の社員の状況を迅速に把握し、必要な対策が取れるようにする」ための取り組みをしているそうです。

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以上、セミナー内容の一部をご紹介しましたが
いかがでしたでしょうか。

しばらく前に仕事で知り合った方で
がんの治療中という方がいました。

抗がん剤治療中とのことで
日によって副作用が強く出るそうで、
「無理のない程度にやってますよ」とおっしゃっていました。

厚労省調査によると、
働きながらがん治療を続ける方は
現在、日本に32.5万人いらっしゃるそうです。

無理して仕事をして
体調を崩すのはよくありませんが、
仕事を続けられれば収入も確保できますし、
社会との接点を保つこともできます。

ですから、上記のような制度は
治療中の方にとっては心強いですね。

実は私も若い頃、
病気治療のため仕事を辞めた経験があります。
そのときは、また別の公的制度にですが助けられました。

さまざまな制度を上手に使いながら、
治療と仕事を両立させ、
一人でも多くの方がまた健康に働ける
日が来ることを切に願います。